呪術界に名を轟かせる特級術師、九十九由基。
彼女は仮想の質量を操る術式「星の怒り(ボンバイエ)」の使い手として知られています。
体術の達人でもある九十九由基から、質量操作によって繰り出す強力な打撃とは、圧倒的な破壊力を持っていました。
本記事では、式神「凰輪(ガルダ)」との連携や反転術式の使用など、九十九由基の戦いぶりを詳しく解説していきます。
九十九由基の術式と能力
生得術式「星の怒り(ボンバイエ)」
九十九由基の生得術式「星の怒り(ボンバイエ)」は、自身に任意の質量を付与できる術式です。
付与する質量の大きさに制限はなく、想像できる範囲で自由自在に操ることができます。
この術式の特徴は、付与した質量が術師本人の身体機能に影響を与えないことです。
極端な重さを加えても、九十九由基の動きが鈍くなることはありません。
体術の達人である九十九由基は、この術式を活かし、ゴリラのような破壊力の打撃や、特級呪霊を一撃で破壊する蹴りを繰り出します。
術式によるブラックホールの発生
九十九由基は質量を操る術式を応用した拡張術式で、ブラックホールを作り出すことができます。
超高密度に質量を圧縮することで、空間を歪める重力の特異点を作り出すのです。
高専最下層での羂索との戦いで放ったブラックホールは、建物を大きく破壊しました。
天元の結界と本人の制御によって被害は抑えられましたが、羂索の証言によれば「世界中を巻き込む威力」だったようです。
九十九由基が特級術師に位置づけられる理由は、まさにこの圧倒的な力にあります。
式神「凰輪(ガルダ)」とその役割
九十九由基の戦闘スタイルを支える存在が、式神「凰輪(ガルダ)」です。
鳥のようなくちばしと、魚の骨に似た硬質な胴体を持つ独特な姿をしています。
インド神話の神鳥ガルダをモデルにしたとされるこの式神は、九十九由基本人以外で唯一、「星の怒り(ボンバイエ)」の術式を適用できる存在です。
凰輪(ガルダ)は形を自由に変えられる柔軟さを備えています。
鞭のように振るい、敵を締め上げることができ、形を変えてボール状になることも可能です。
実戦では特級呪霊を一撃で撃破する威力を見せました。
近接戦闘を主体とする九十九由基は、凰輪(ガルダ)を飛び道具として活用することで、中距離から遠距離までの戦闘にも対応できるのです。
反転術式の使用とその特性
九十九由基は極めて高度な反転術式を扱うことができます。
羂索との戦闘中に負傷した腕を一瞬で修復する場面からは、卓越した呪力操作の技術が垣間見えます。
反転術式は呪力を精密にコントロールする必要があるため、習得できる術師はわずかです。
戦闘の最中でも瞬時に治癒できる九十九由基の技術は、その稀有な才能を証明しています。
簡易領域の使用
九十九由基の戦闘技術の一つに、シン・陰流「簡易領域」があります。
羂索との戦いでは、相手の領域展開に対してこの簡易領域で応戦しました。
しかし、天元と並ぶ結界術の使い手である羂索に対しては、簡易領域は効果を発揮できませんでした。
ちなみに、九十九由基の弟子である東堂も、同じ簡易領域を使用できる技量を持っています。
九十九由基の術式に関する考察と強さ
領域展開の可否
九十九由基は領域展開を使用できると考えられます。
羂索との戦いで、自身による領域展開を作戦の選択肢として提案していたためです。
実際の戦闘では、天元による羂索の領域展開解体を狙う作戦を優先したため、九十九由基の領域展開は使用されませんでした。
しかも、計画は失敗に終わり、九十九由基は敗北を喫することになります。
その特性や効果は未だ謎に包まれたままですが、特級術師の領域展開として、強大な力を秘めていたのではないでしょうか?
戦闘力の評価と特級術師としての実力
九十九由基は日本に4人しかいない特級術師の一人として、圧倒的な実力を持っています。
特級術師の称号は並外れた実力者にのみ与えられる称号です。
術式の性質上、ブラックホール生成以外の技は体術の強化に見えがちです。
五条悟や乙骨憂太と比べると派手な戦闘シーンは少なく、強大な敵を倒すような場面描写も限られています。
また、海外での自由な活動を好んだ性格から、戦闘機会自体が少なかったことも、実力の全容が見えづらい要因です。
羂索との戦いと敗北の要因
九十九由基の唯一の本格戦闘となった羂索戦では、敗北という結果に終わりました。
しかし戦いの中で、特級術師としての実力を十分に示しています。
敗北の背景には、羂索の圧倒的な強さに加え、天元を守るという使命感から戦術に制限があったことが挙げられます。
また、脹相に人としての生き方を示すなど、戦闘以外でも重要な影響を残しました。
戦闘実績の少なさは残念ですが、九十九由基の実力は、特級術師の名に恥じない水準であったことは間違いありません。
九十九由基の研究とその影響
九十九由基は魂に関する重要な研究を極秘で進めていました。
この研究内容は死の直前に脹相に託され、最終的に虎杖悠仁へと引き継がれることになります。
九十九由基が誰にも知られないように研究を続け、最期に託した事実からは、その内容の重大さが推測できますね。
魂と肉体の関係性について深く言及したこの研究は、宿儺と融合した伏黒を救い出す際に活かされました。
九十九由基の研究は、表立った戦闘以外の場面でも、物語に大きな影響を及ぼしています。
九十九由基の術式に関連する元ネタと考察
術式「星の怒り」の由来と元ネタ
九十九由基の術式「星の怒り」の呼び名である「ボンバイエ」には、格闘技界の歴史的な背景が隠されています。
「ボンバイエ」の語源は、恐らくコンゴのリンガラ語「Boma ye(ボマ・イェ)」です。
日本語に訳すと「やっちまえ!」という意味になります。
日本では、プロレスラーのアントニオ猪木のテーマ曲として広く知られています。
モハメド・アリが「格闘技世界一決定戦」の際に猪木に贈ったフレーズとして有名です。
格闘技の世界を象徴するこの言葉は、質実剛健な性格の九十九由基の術式名として、非常に適した選択といえるでしょう。
まとめ
九十九由基は、仮想の質量を操る強大な術式と卓越した戦闘能力を持つ特級術師です。
生得術式「星の怒り(ボンバイエ)」では、質量操作による圧倒的な格闘能力を発揮し、さらに術式応用によってブラックホールまで生成できます。
式神「凰輪(ガルダ)」との連携、反転術式による治癒、簡易領域の使用など、多彩な技術を駆使する実力者です。
また、死の直前に託された魂の研究は、物語に大きな影響を与えました。
特級術師としての圧倒的な実力と、格闘技の世界観を取り入れた術式設定は、九十九由基という人物の独自性を際立たせているのです。