九十九由基は『呪術廻戦』において、物語のターニングポイントともいえる重要な人物です。
天元の星漿体である天内理子の死から、夏油傑の呪詛師への転落など、九十九由基は呪術界に大きな影響を与えました。
本記事では、夏油への言動など重要な出来事を振り返りながら、九十九由基は本当に戦犯だったのか、その真相と背景に迫ります。
九十九由基は戦犯?その理由と背景
九十九由基と夏油傑の出会い
呪術高専の学生時代、五条悟と夏油傑は天元の星漿体である天内理子の護衛任務を担当しました。
しかし、伏黒甚爾による暗殺により、護衛任務は失敗に終わってしまいます。
この出来事をきっかけに、五条悟は呪力の本質を理解し、最強の呪術師としての力を手に入れました。
一方で夏油傑は、非術師への強い嫌悪感に苦しみ、心身ともに限界を感じていました。
そのような状況下で、九十九由基が呪術高専を訪れ、夏油傑と運命的な出会いを果たしたのです。
九十九由基が目指した世界
九十九由基には、ある目的がありました。
それは呪霊が存在しない世界の実現です。
そして、九十九由基は呪霊を退治し続ける対症療法ではなく、呪霊を生まない世界の実現という根本的な解決策を提示します。
九十九由基が考える呪霊を生み出さない世界の実現方法は2つありました。
- 全人類から呪力を完全になくす
- 全人類が呪力をコントロールできるようにする
九十九由基は1つ目の方法について、伏黒甚爾をモデルケースとして研究を進めようとしました。
伏黒甚爾は呪力を持たないにもかかわらず、呪霊を認識できる五感を持ち、呪いへの耐性も備えていたためです。
しかし、伏黒甚爾は研究協力を拒否し、その後死亡したため、九十九由基は2つ目の方法へと転換しました。
夏油傑の非術師抹殺を後押しした理由
九十九由基が提案した「全人類の術師化による呪いの根絶」という考えに、夏油傑は「非術師を皆殺しにすれば解決する」という極端な発言をしてしまいます。
思わず口にしてしまった自身の言葉に戸惑う夏油傑でしたが、九十九由基はその考えを肯定的に評価しました。
九十九由基は、非術師の数を減らし、生き残った人々を術師として進化させることが、最も単純な解決策だと主張します。
九十九由基は「私はそこまでイカれてない」と言葉を添えましたが、夏油傑が闇堕ちする重要なきっかけを作ったことは間違いありません。
天内理子の死についての発言
九十九由基は夏油傑との会話の最後に、天内理子と同化できなかったものの、天元は安定を保っていると伝えます。
同時に「星漿体のことは気にしなくていい」と伝えました。
この発言は、天内理子の死を悔やむ夏油傑への思いやりだったのかもしれません。
しかし、この言葉には残酷な意味も含まれていました。
非術師である天内理子を守るために全力を尽くした夏油傑の努力を、軽視しているようにも解釈できたのです。
夏油傑は「でしょうね」と返答しましたが、その表情には深い失意が浮かんでいました。
この言葉の裏に、「非術師が一人死亡しても呪術界の根幹は揺るがない」という諦めの感情が込められていたのかもしれません。
九十九由基との会話を終えた夏油傑の表情からは、何かを諦めてしまったような虚無感が感じられました。
九十九由基は戦犯なのか?その後の評価
夏油の闇落ちを招いた
夏油傑は呪術師として非術師を守り続けましたが、多くの術師が命を落としていく現状に苦悩していました。
そんな中、親身に指導してきた後輩の灰原雄馬が任務中に命を落としたことで、夏油傑の心は大きく揺らぎ始めます。
呪術師の存在意義や使命について深い葛藤を抱える中、ある村での任務で衝撃的な出来事に遭遇します。
呪力が使えるという理由で村民に軟禁され、虐待を受けていた少女たちの姿を目にしたのです。
この出来事をきっかけに、夏油傑は九十九由基との会話を思い出し、非術師抹殺という極端な選択をしてしまいます。
村を壊滅させた夏油傑は呪詛師となり、呪術高専から追放される身となってしまいました。
天元を信頼し敗北に繋がった
九十九由基が羂索との戦いで敗北した最大の要因は、天元の結界術を過信し、自身の領域展開を使用しなかったことです。
当初の作戦では、羂索の領域展開を天元が破壊し、九十九由基がその10秒間を耐え抜く予定でした。
しかし、羂索の領域展開は両面宿儺と同様に外郭を持たない強力なものだったのです。
九十九由基は予想以上の攻撃に耐えきれず、天元による結界術の破壊も間に合わなかったため、致命的なダメージを受けてしまいます。
九十九由基が自身の領域展開で対抗していれば、戦局は変わった可能性がありました。
天元を信頼したことが、九十九由基の命取りとなってしまったのです。
九十九由基の死亡とその後の反響
九十九由基が死亡した理由
九十九由基は羂索との戦いで、うずまきで致命傷を負った後に、上半身と下半身を切断されてしまいます。
ですが、九十九由基はその状態でも辛うじて生きていました
そして、九十九由基は自身の術式を駆使し、世界を巻き込むレベルの威力を持つブラックホールを生成します。
そのまま自分ごと羂索を道連れにしようとしますが、羂索は「反重力機構」でブラックホールの重力を無効化してしまいました。
こうして九十九由基は羂索を倒せず、ほぼ犬死にのように物語から退場したのです。
復活の可能性はあるのか
九十九由基は腹部の致命傷、身体の切断、そして自爆という三重の致命的状況に遭遇しました。
通常であれば、いずれか一つでも死に至る状況です。
しかし、最期の場面が自爆による消失だったため、九十九由基の完全な死亡を確定できない要素が残されています。
また、九十九由基が最期に残した「重力も質量も時間も突き詰めれば」という言葉は、アインシュタインの一般相対性理論と深い関連があります。
この理論によれば、質量を持つ物体は周囲の空間を歪め、その歪みが重力として作用します。
また、強い重力場では時間の進みが遅くなるという特性があり、ブラックホール周辺では時間がほぼ停止状態になるのです。
この理論を活かして、九十九由基が時間を操り復活する可能性も0ではないでしょう。
まとめ
九十九由基は、夏油傑との出会いと「非術師抹殺」への言及が、後の呪術界に大きな影響を与えた人物です。
他にも、強大な力を持ちながらも天元を信頼しすぎて敗北するなど、彼女の選択ミスが呪術師側に大きな損失をもたらしてきました。
そのため、多くの読者からは「戦犯」と評価されています。
しかし、渋谷事変での活躍など、九十九由基がいなければ虎杖達が生き残れなかった場面がいくつもありました。
そのため、夏油の件はあったものの、総合的には有能だったと言えるでしょう。